石上洋の米国税務・会計 Vol.10『資本』

石上越智会計事務所では、月に2回、アメリカの税務などに関わる情報を配信しています。
今回のトピックは「資本 」です。

資本

前々号にて貸借対照表(Balance Sheet)は資産(Asset)負債(Liability)資本(Equity)という三つの要素から成り立っていると書きました。今回はその資本について解説します。

資本
アメリカではOwner’s Equity・Stockholders’ Equity・Shareholders’ Equity・Corporate Capitalなどと呼ばれ、資産から負債を引いた残高が資本となります。計算式で「資本=資産– 負債」と表されることもあり、下記3つで構成されます。

  1. 資本金(Capital Stock)
  2. 株式払込剰余金(Additional Paid-in Capital)
  3. 利益剰余金(Retained Earnings)

1. 資本金
株式の発行によって調達した資金で、大きく分けて普通株(Common Stock)と優先株(Preferred Stock)の二種類が存在します。

普通株
口語的に使用される株式は一般的に普通株を指します。普通株を所有することはその会社の一部分を所有していることと同じで、1株に対し1票の議決権が付随します。つまり、株主総会において会社経営陣の選出や承認を行う権利を有するので、運営にも関わることが可能です。新しく株式が発行される前後の保有率を維持できる「先買件(Preemptive right)」も与えられます。
優先株
それに対し優先株は、利益の配当(Dividend)や残余財産の分配を普通株所有者より優先的に受け取る権利があります。また、事前に決められたレートに沿って普通株に交換できたりなど、様々な特徴を持ちます。それに加えて、広い範囲から出資者を募る為に、特徴に差をつけた数種類の優先株を発行している会社もあります。しかし、普通株よりも優遇されたその権利内容に代わり、会社の運営に関わるための投票権を持ちません。

また、上記以外に、自己株式(Treasury Stock)というものがあります。

自己株式
発行した株式をその会社が買い戻すことがあります。理由は色々ありますが、配当やストックオプション用、株価の下落や買収の事前予防を目的とする場合が多いです。株式を買い戻すということは投資された資本を返却することと同じなので、現金と資本が両方減ることになり、減資と同じ意味となります。保有期間中は資産としても資本としても扱われず、未発行分の株式と同じと見なされます。

 

2. 株式払込剰余金
株式を額面以上の金額で売却した場合、その額面との差額は株式払込剰余金と認識します。例えば、一株10ドルの株式を1万株発行したとします。それを投資家が20ドルで購入たとします。この場合、会社は10万ドル(10ドル×1万株)を普通株、残り10万ドル((20ドル-10ドル)×1万株)を株式払込余剰金として扱うことになります。

 

3. 利益剰余金
会社設立後の損益を合計したものです。もちろん、今までの営業で損失を出してしまった場合はこの数値がマイナスとなります。株主への配当金等はここから支払われることになります。

配当

通常業務で発生した利益は翌年に持ち越される場合と株主へ分配される場合の二通り考えられ、前者は利益剰余金として翌年に持ち越されますが、後者は配当と呼ばれ以下4つ何れかの形態によって株主に支払われます。

・現金: その名の通り現金の配当
・現物(Property): 資産で現金以外のもの(土地、建物、商品など)による配当
・清算(Liquidating): 利益を超える分の配当
・株式: 自己株式からの配当

配当は利益余剰金から出されるのが一般的ですが、妥当な金額と形態の判断は困難を極めます。何故なら、利益余剰金は業務拡大のための資金源の一つだからです。配当の未払いや減少は業績不振と市場に捉えられてしまいます。従って、市場側は前年の維持、またはそれより多くの配当を求めますが、会社側は翌年への持越しが減るので配当を少なく抑えたいという心理が働きます。


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