石上洋の米国税務・会計 Vol.11『ウォーターズエッジ』

石上越智会計事務所では、月に2回、アメリカの税務などに関わる情報を配信しています。
今回のトピックは「ウォーターズエッジ 」です。

ウォーターズエッジ

ウォーターズエッジ(Water’s Edge Election水際選択)

ビジネスが軌道に乗り会社の規模が大きくなってくると、海を飛び越え海外をまたにかけて事業を展開していくケースがあります。また、日本から海を越えて投資家(企業・個人)としてアメリカで事業を展開するケースもあります。こういった場合、カリフォルニア州では合算課税方式を採用しているので、確定申告の際は全世界所得を申告しなければなりません。

▶合算課税(Unitary Tax)

アメリカでは各州が独自の課税権を持っているので、「ある企業が州外や海外で事業を行った場合いったいどこで課税されるのか?」、という問題が発生します。その問題を解決するために採用されているのが合算課税方式です。これは、法律上は別企業でも親子・兄弟企業などの場合は単一のグループで事業を行っているとみなされ、関連企業全ての所得を合算して確定申告書の作成をします。しかし、他の州でも合算課税方式が採用されている場合、二重課税される可能性がでてきます。そこで、各州で発生した売上・給与、保有する資産を基に合算所得の各州における割合を基に納税します。カリフォルニア州は全世界所得を課税対象とするので、海外の関連企業も合算所得に含まなければなりません。

▶ウォーターズエッジ

カリフォルニア州では海外に関連企業を持つ企業に対し、「ウォーターズエッジ」という選択肢を与えています。アメリカ国内外における関連企業全ての合算所得を申告する必要があるカリフォルニア州ですが、この選択肢を取ることによって、アメリカ国外の所得を含める必要はなくなります。例えば、日本、カリフォルニア、ニューヨークに関連企業がある場合、所得計算の際にカリフォルニアとニューヨークの会社の事だけを考えればよい、ということになるのです。そのため、全世界所得よりもアメリカ国内の収入が少ない場合、節税に繋がる可能性が出てきます。また、海外の関連企業の所得を確定申告に含めなくて良いので、その分の記録・管理が簡単になり、そこにかかる費用も節約できます。

▶条件

ウォーターズエッジを申請する条件は以下の通りです。

・ウォーターズエッジ基準での課税所得の計算 ・法人税申告はForm 100Wを使用 ・申請年度のForm 100-WにForm 100-WEを添付

▶更新

ウォーターズエッジの更新には毎年特別な作業は必要なく、Form CA100-Wを使い続けることで自動更新されます。しかし、一度申請すると申請後7年間はウォーターズエッジ基準で確定申告を行わなければならず、基本的に途中で選択を取り消すことは出来ません。

申請後7年目以降の法人税申告でForm CA100を使用すれば自動的に解除されます。しかし、一度ウォーターズエッジを解除してしまったら、再申請には最低7年間待たなければなりません。

仮に7年以内に解除、もしくは解除後に再申請を行いたい場合は書面において正当な理由(連結納税をやめる場合など)を説明し、カリフォルニア州の税務当局から認可を得る必要があります。 解除は翌年の確定申告から有効で、申請した年はウォーターズエッジ基準の確定申告をしなければなりません。再申請の場合は、その年から適用可能です。

これらの申請は、解除の場合確定申告提出期限の120日前まで、再申請は提出期限の90日前までに行わなければなりません。 申請してから、解除の場合は90日以内、再申請は60日以内に税務当局からの返答が無い場合、申請は棄却されたものと見なされます。

いずれの申請も、税務当局から認可が下りる前であればいつでも取り消すことが出来ます。

カリフォルニアではウォーターズエッジを選択しなければ、海外の関連企業と合算所得で確定申告しなければなりません。しかし、このような状況下でも、正しい選択をしないでいる企業も見受けられます。このような場合、最悪所得隠蔽とみなされ追徴金を課される可能性もあるので、専門家と一度見直してみましょう。


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