石上洋の米国税務・会計 Vol.37「留保利益への課税」


石上越智会計事務所では、月に2回、アメリカの税務などに関わる情報を配信しています。
今回のトピックは「留保利益への課税」です。

留保利益への課税

企業を運営して黒字が続くと、内部にお金が溜まり続けていきます。これは配当金として株主に還元されるのが一般的ですが、一定額を超えると課税対象になる可能性があります。

<配当金>

企業の利益は株主に配当金を出さない限り、留保利益(Retained Earnings)として内部に溜まり続けます。それらの利益には法人税が課されます。その後に留保利益から配当金を出すと再び個人の所得税がかかります。このように法人の利益には、個人に辿り着くまでに二回課税されることになり、これを二重課税と呼びます。

配当金を出すと株主の所得レベルが上がり税金も増えるので、出さずにいることで節税することも可能です。留保金課税 留保利益25万ドル以上(会計業やエンジニア等、何らかのプロフェッショナル・サービスを提供するような事業は15万ドル以上)に対して20%課税されます。

例えば、2017年までの留保利益が20万ドル、2018年の所得が40万ドルだとします。ここで配当金を出さなければ、2019年の留保利益は60万ドル(20万ドル+40万ドル) です。そうすると、2018年の留保金課税は35万ドル  (60万ドル– 25万ドル) に対して税率が20%なので、7万 (35万ドル×20%) 課税されます。

<課税の理由>

株主に余剰利益を分配しないことに対する懲罰的課税で、米国国税庁(Internal Revenue Service/IRS)が調査に入ったときに課税されます。ですので、正当な理由があれば留保利益が25万ドルを超えても課税対象となりません。

例えば、仕入れや給与など運転資金で必要といった場合です。毎月の取引額が留保利益を上回ったり、多くの従業員を抱えて一回の給与で25万ドルを超えるような企業は、ある程度の留保利益を確保しておかなければ事業が回りません。それ以外にも、事業の拡張計画などがある場合も正当な理由となります。これらの事実から、配当金を出さない理由が二重課税を逃れることにないと証明することで課税回避が可能となります。

それらの証明には、事業拡大計画や備品の更新を検討した議事録や、その計画を示唆するEメールが残っていれば十分な証拠となります。しっかりと根拠資料を残しておけば、課税される心配はほぼ無いと言っていいでしょう。

<定期的な配当>

定期的に配当金を支払って、留保利益を合理的な範囲内にとどめる事で課税回避可能です。それによって二重課税の対象となりますが、配当金をあまり支払わない企業は支払っている企業と比べて、恣意的に留保利益をとどめることで「二重課税を避けていた」と判断されることもあり、調査に入られたときに言い逃れが難しくなる傾向にあります。


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